向上心の足跡

子育てエンジニア的つぶやき集

魔法の棒を探しに行った日

最近は午前中、次女をベビーカーに乗せ、長女と家から徒歩15分ほどの小さな森によく遊びに行っています。朝イチででかけて、長女の寄り道に付き合いながら40分ほどかけて到着、森でちょうちょを追いかけたりして遊んで、小一時間で帰宅のスケジュール。

ある晴れた朝、いつものように森にでかけていると、道端で、どうやらちょうどいい具合の棒を見つけたらしい長女。
「魔法の棒」と名付け、どんなに素敵な棒なのかを一生懸命説明してくれます。

「うさぎさんにな〜れ〜!、とかできるんだよ。」
「でもね、ほんとうには、ならないんだけどね。ね。」
「いろ〜〜んなまほうが、つかえるようになるの。」

タンポポの綿毛も、この魔法の棒にかかればあら不思議。フーっとやらなくてもすぐに飛んでいきます。

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森に着いても、これ以上の棒は見つからなかったようで、棒と一緒におやつを食べ、走り回り、ちょっと探検。いつもなら怖くて入らない森の奥も、棒と一緒ならと入ってみました。

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暫くした頃。

「うんち…」

この森の近くには公衆トイレはありません。「急げーー!」と、走って帰ります。魔法の棒は、ベビーカーに引っ掛けていた「大事な物入れ」の箱に入れて…。
森の近くの道はガタガタ道。ふと気づいた時には、箱からはみ出ていた棒が見当たりません。

「〇〇ちゃんの、だいじなぼう、。。。どこいっぢゃっだのぉぉぉぉ。。。」

ウンチがしたい気持ちも吹っ飛ぶほど、悲しい気持ちになってしまった長女。大泣きしつつ、棒を探しに森に戻ると言い出します。家まであと5分!どこで落としたかはわからない(けどきっと森の近くのガタガタ道)。でももうお昼だし、見つからなさそうだし、そもそもウンチもれちゃうじゃん!と、なんとか説得を試みますが、探しに行くと言って聞かない長女。

「あ!この棒、素敵!これじゃ駄目かな?」「明日の朝、探しに行こう?」「お昼ごはん、お父さん待ってるからさ。」「探すのとっても時間がかかると思うな」「じゃ、今日の夕方、探しに行こう?」

全部効きません。代わりの枝は10本以上提案してみましたが、どれも違うらしい。

「さきっぽが、しゅってなってて、ちょっとぼこってしてる、ほそくなくて、ふとすぎないやつなの。」

明日の朝や夕方探しに行く提案は

「いまがいいの!」「なくなっちゃうの!」

と。
あまりに素敵な棒だったから、誰か(わんちゃんとか)が持っていっちゃうかも、と心配だった様子。
最終的に、通りかかったおばあちゃんに何か話しかけていただいて、そこで気持ちが収まったようで(もしくは便意が勝ったか)なんとか家に帰れました…。

お昼ごはんを食べている間も、お父さんに魔法の棒の話をしながら涙が出てしまう。本当にお気に入りだった様子。
でも、言いたくないけど、落としたのは十中八九、森の脇の小道。枝が山ほど落ちていて、到底お目当ての枝が見つかるとは思えない。とりあえず夕方探しに行こう、という約束をしてお昼寝しました。

さて、お昼寝明け。
もちろんバッチリ覚えていたので、覚悟を決めて装備を整え、暗くなったら帰ろうね、という約束をして森に向かおうと家を出てみると…

「あ、あめだ」

雨が降ってきてしまいました…。これは不覚。天気のことは全く考えてなかった。
小雨だったので、次女だけ夫に託し、傘をさしていざ出発。あれだけ気に入っていたし、探しに行くと約束したので、ここは行かねばなるまい。少なくとも長女の気が済むまで付き合おう。

「ないねぇ〜」「このへんかな」「これは、、、ちがうねぇ」

と言いながら、本命の小道に向かいます。
長女もだんだん見つけるのは厳しいというのがわかってきたのか、歩みが早くなってきます。

歩くこと10分、一番怪しいボコボコの小道に差し掛かりました。木が生い茂っているのと雨なのもあり、薄暗い。慎重に、ゆっくり、探しながら歩きます。

小道が終わりに差し掛かるころ、なんだか気になる棒が…。なんとも言えない、でも「これ」。ひときわ存在感のある棒。

「これじゃない?」「これかもしれんねぇ」「これだよ!」「うんうん、これっぽい!」

まさか見つかると思っていなかった母、こっそり朝撮った写真を確認。…これだ!!!
帰り道、探す道、たくさんの棒を見てきましたが、確かに違う。正直、棒に違いがあると思っていなかったし、代わりのもので何故納得していただけないのか、本当に違いがわかっているのか?と疑ってたけど、ごめん。

これは確かに、「先っぽがしゅってなってて、ちょっとボコボコしてて、細すぎず太すぎない、なんか特別な」棒だった。

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この棒を見つけたとき、ふとハリーポッターの杖を思い出した。これはきっと、本当に、魔法の棒だったんだねぇ…。

ということで、持って帰って煮沸消毒して、棒を丁重にお迎えすることにしました。

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なんだかとても心に刺さったので、いつでも思い出せるように書き記してみた。